ナショナリズム-名著でたどる日本思想入門
『ナショナリズム-名著でたどる日本思想入門』 浅羽通明 ちくま新書 2004年
ある国に価値を認め、それを基礎に展開される知的考察がナショナリズムだが、それは思想というよりもっと幅広い本能・習慣のようなもので、我々のほとんどが無意識のうちにその上に乗って考え行動する前提のようなものだと著者は定義する。そのため本書は、いわゆる思想書にとどまらず、唱歌「戦友」や司馬遼太郎の歴史小説、さらには漫画「男一匹ガキ大将」など多様な素材を、近代の日本ナショナリズムを表現する著作として読者に紹介していく。ナショナリズムというものが非合理的な側面を多分に持っているからこそ、一般庶民の間にまであまねく浸透していったという事実を重視する著者は、文章化してロジカルに論じることが出来る題材のみを重視しがちなインテリ知識人と異なって、多様な題材の中にナショナリズムの表現を探っていくのだが、この著者のセンスには脱帽させられる。
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